そんな「ヨコミネ式」子育てを早速紹介していきます。
「ヨコミネ式」子育てとは、横峯吉文氏が独自に開発した教育プログラムです。
横峯氏は昭和55年、鹿児島県志布志(しぶし)市に社会福祉法人純真福祉会「通山保育園」を設立、運営しています。
余談ですが、横峯と聞いて浮かぶ人がいませんか?
そうです。横峯吉文氏は、女子プロゴルファー 横峯さくら選手のおじ、だそうです。
そんな横峯氏が開発した「自学自習」の力を育てる子育て法。それが「ヨコミネ式」子育て。序文にこんな言葉がありました。
「ヨコミネ式」は、子供みんなが、自分の一番好きなことに天才になれるための方法です。落ちこぼれゼロ、みんな天才です。(Via:14)
子供みんなが、自分の1番好きなことで天才になる。とても素敵な言葉だと思います。
「ヨコミネ式」は4つの核から構成されています。
「読み」「書き」「計算」「体操」
具体的な子育て方法をみていきましょう。
文字の読み書きは、大切なことですよね。
国語は、日本で生きていく上で最も大切であると言っても過言ではないでしょう。
大人になってからも文字を読み書きは、私たちの周りを一生ついて回ります。
その度に「もっと本を読んでおけばよかった。文章を書く練習をしておけばよかったな。」と後悔。そんな経験ありませんか?
私は今でこそ月に本を10冊以上読む、無類の本好きなのですが、大学生になるまでは全く本を読みませんでした。
なぜだろう。
そう考えた時、思い当たることがあります。
大学生になるまで
という経験がなかったのです。
読書感想文は、あとがきの丸写し、人権作文はコピぺ(同感してくれる読者の方が多いことを願います)という始末。
読み書きの、達成経験がなかったので苦手意識が生まれるのも当然の結果です。
「ヨコミネ式」子育てでは、1冊の本を読みきった達成経験をなるべくはやく経験させます。
次の章で紹介する「ヨコミネ式の学習帳」で書く練習をしっかりすれば、読みに関しては特に特別なことはしないそうです。
さて、具体的な方法です。
え、たったこれだけ?非常にシンプル。
本を一冊読めるようになると、楽しい。達成感がある。その思いが「もっと(本を)読みたい」という気持ちにつながって、小学校に入学するまでに平均1500冊の本を読破しています。(Via:27頁)
私自身も読破した時には、読み切ったという達成感が私を次の本へと導くのです。
子供達は先生に文字を教わるのではなく、この感覚を教わることで、本を読むのが好きになるのでしょう。
人は本当に好きなことは、誰に何を言われなくとも自発的にします。それは子供に限って言えることではなく、私たち大人にも同じ。
この達成感から「ヨコミネ式」子育ての子供たちは10歳までに3000冊の本を読むそうです。
これだけの量を読めば、読解力も語彙力も豊富なのは、言うまでもありません。
読み聞かせるのは、はじめだけ。自分で読めるようになったら一人で読ますことが大切です。
皆さんは文字をどのように覚えましたか?
多くの方が五十音の「あ」から順番に習い、「ん」で終わるという経験があると思います。
当時は先生に言われるまま、「あ、い、う、え、お」とみんなで音読して、書く練習をしていました。
しかし、初めて文字を習う子供に、なぜ「あ」という複雑な文字を教える必要があるのでしょうか。
「あ」には、曲線も横線も縦線もあります。これでは文字を習う子供が最初から挫折してしまう可能性があります。そして文字嫌いになります。
そもそも子供は、文字をひらがなから覚える必要はありません。簡単なものから教えていきましょう。
一番簡単なものは、漢字の「一」です。
私の方法は、簡単なものから順に教えること。50音やひらがな・カタカナ・漢字・数字の枠を取っ払い、子供たちには画数の少ない単純な文字から筆記させています。(Via:32頁)
子供の気持ちに寄り添い、その子が確実にできることから始める。
これは「落ちこぼれゼロ、みんな天才です。」という言葉通り、横峯氏の子供に対する深い愛情が感じられる指導法だと思います。
ちなみに、この方法で文字を習うと、学校で最初に教わる「あ」は、ひらがなで最後から2番目に教えることになるそうです。
初めて文字を習う子供が、ひらがなで2番目に難しい文字から習う必要など、どこにもないと思います。
まさに百害あって一利なし。初めからつまづく子が増えるだけです。
大切なのは、相手の立場に立って教えること。これは子育てに限らず、人間関係にも言えることです。
「ヨコミネ式」子育てでは、3歳児になるとゲーム的な要素を加えながら、簡単な計算を繰り返します。
教材は、学習教材メーカー公文のものや、陰山英男氏の「百ます計算」を使用します。
3歳児に、このレベルの教材はまだ難しいのですが、繰り返すことによってみんなできるようになります。
先ほどのひらがな同様
果たしてこの学校教育が正しいのでしょうか?
大切なことは、まず挑戦してみること。継続すればいつかできます。
小学2年生になると、ソロバンを学ばせます。基礎を教えて、毎日20分の読み上げ計算をします。
たったの20分ですが、積み上げれば1週間で100分、1年でおよそ5300分=88時間強。それを6年生まで5年間続ければ実に3万1800分=530時間も読み上げ計算していることになるのです。それだけ続けることができれば、彼らも気づかないうちに確かな計算力が身につきます。(Via:38頁)
その積み重ねで、どんな子供でも小学校を卒業する頃にはソロバン1級程度の計算力を身につけているそうです。
この経験を通して子供たちは計算力以外にも多くの学びをしていると思います。
継続して物事に取り組む習慣、そして、努力すれば結果は必ずついてくるということ。毎日20分の計算をしてみましょう。
「ヨコミネ式」子育ての四つの核、最後は体操です。
もちろん、最初はできる子とできない子の差があります。できようとできまいと、とにかく毎日同じメニューで繰り返し続ける。そうするうちに、できる子はより難易度の高い技を、できなかった子は徐々にできるようになっていきます。(Via:40頁)
何事もはじめからできる人などいません。みんな、必死に練習し、研究し、継続して徐々にできるようになっていきます。
ある程度できるようになればしめたもの。「できた」という達成感を味わうので、自信がつきどんどん上達していきます。
「なんであの子はできているのにうちの子はできないの」などと、焦らないでください。
少し周りの子より遅くとも、必ず達成できる日がきます。そしてその日を境に、子供はぐんぐんと成長していきます。
無限の可能性を秘めた芽を、大人の都合で摘んでしまってはいけません。
余計な口を出さず「じっと見守る」。「そうすればできるようになるかな?」と子供が聞いてきたら、精一杯のアドバイスをしてあげる。それが本当の優しさだと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
子供の「自学自習」の力を育てる「ヨコミネ」式子育て、いかがでしたか?
難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「子供は一人でなんでもできるから、大人引っ込んどれ」ということです。
大人の出番は、子供が何かを聞いてきた時だけです。その出番も親や先生としてではなく、人生の先輩として成功した体験も失敗した体験もたくさん教えてあげましょう。
そしてこの教育法は子供に対してだけではなく、人間関係全般に言えると思います。
やる前から人にあれこれ口を出さない。
人はみんな失敗を繰り返して、成功へと近づいていきます。じっくりどっしり構えて、成長を見守りましょう。
最後に。この本のタイトル『天才は10歳までにつくられる』は、10歳までが様々なことを習得しやすい時期だということです。私の子は10歳を超えているから天才にはなれない、というわけではないのでご心配なく。
いつからでもみんな、私たち大人も方法一つで天才になれます。
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それではまた。
いつも誰かのお陰様☆
【参考・引用文献】
・横峯吉文(2007)『天才は10歳までにつくられる-読み書き、計算、体操の「ヨコミネ式」で子供は輝く!』 ゴルフダイジェスト社 199頁