親子っていつから親子なの?
どうも。masa☆くるぷぴぃ(@masataro_2525)です。
今回は、親と子はどういった過程を経て「親子」になるのか、についてシェアしていきたいと思います。
「生まれた瞬間から親子じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではないようです。
生まれた段階では、まだ親が一方的に、赤ちゃんを「自分の子ども」だと思っているだけです。
この時、赤ちゃんはまだ目の前にいるのが親だとは認識していません。
なんか面白いですよね。
そんな「親子」の成り立ちを、発達心理学の視点から、みていきましょう。
では、早速!
生まれたばかりの赤ちゃんは、言葉が話せないので、何かを伝えようとするときは泣いて訴えようとしますよね。
でも、泣いている理由を話してくれるわけではありません。
そこで、親はその理由は知るために一生懸命子どもに声をかけたり、抱っこしたりします。
この、声をかけたり、抱っこしたりすることが、親と子が「親子」になっていく上での、第1ステップです。
子どもと接することに慣れている大人(園児の先生など)が使う話し方を、発達心理学では「マザリーズ(motherese)」と呼びます。
「マザリーズ」の定義としては
ゆっくりと音節を区切り、大きくて高く、抑揚のある話しかけ方(Via:132頁)
のようですが、イメージとしては、絵本の朗読家の方が話す、話し方のような感じです。
大人は本能的に子どもに対して、このような話かけ方をするので、「育児語」とか「養育語」などと呼ぶこともあります。
さて、この「マザリーズ(大きく、ゆっくりとした抑揚のある話し方)」なのですが、この話し方は多くの学者たちによって、その効果が証明されています。
発達心理学者の正高信男教授が残した観察記録には、「マザリーズ」の効果が残されています。
大きくゆっくりと、高くて抑揚のある話しかけ方は、子どもにとって、非常に効果的なようです。
初めて子育てをする保護者の方は、初めはこの「マザリーズ」を少し照れくさく感じてしまうもの ⋯。
しかし、その話し方を用いてみると、子どもが目に見えて表情を変えたり音声を発したりと反応するのがわかるので、そのうちに話しかける親の方もマザリーズを心がけるようになります。(Via:132-133頁)
初めはなんだか、小恥ずかしいのですが、子どもが目に見えて反応してくれるのが嬉しくて、いつの間にか「マザリーズ」を使っている保護者の方が多いようです。
私も小学校で指導をしていた際、小学校低〜中学年の児童には、この「マザリーズ」を使っていました。
理由は、目に見えて反応がいいから!です。
親と子の関係について、小児科医のブラゼルトンらは、こう言っています。
親が話しかけるほどに乳児はよく音声を発し、親が見つめると乳児が見つめ返し微笑み合う。
しかも、このような相互作用は、生まれた時から本能的に備わっていると考えられる。
また、大脳生理学者のフィールド教授の研究グループも
生まれて数時間しか経っていない赤ん坊であっても、親が口を開閉したり舌出したり、笑ったり怒ったりといった表情をしてみせると、それを赤ん坊が一生懸命に模倣しようとする。
と言っています。
つまり、赤ちゃんは生まれながらにして、見たものや聞いたものを本能的に真似しようとする機能が備わっているということです。
すごいですねぇ。
ちなみに、この生まれつき反射的に真似をすることを「原初模倣」と言います。
ひとまずここまでをまとめると
ではここからは、これらのことを踏まえて、どのようにして親と子が「親子」になっていくのかをみていきましょう。
親は赤ちゃんに対して、「マザリーズ」を使ったり、抱っこして体温を感じさせたりと、乳児にたくさんの刺激を与えています。
一見すると、親から子への一方的な行動に見えるのですが、実はそうではありません。
クラウス教授らの研究グループによると
乳児も同じように、声や表情、視線、体温、においを大人に送っており、親はそれを受け止めてさらに強く返すという、「愛情の高め合い」を行なっている。
この研究から「親から子への愛情」だけでなく、「子から親への愛情」を小さな赤ちゃんが送っていることが分かります。
「愛情の高め合い」とはこの関係を言います。
よく、嬉しそうに「この子からはたくさんの幸せをもらっているの」と語る親御さんがいらっしゃいますよね。
その方は自分の子だからと、贔屓目で幸せを感じているのではなく、実際に子どもが親御さんに愛情を送っているため感じる「愛情の高め合い」の結果なのです。
この辺からなんだかぼんやりと、親と子という関係から「親子」に近づいていますよね。
また母性の発達について研究している石野陽子氏は、「人見知り」と「親子関係の構築」についてこんなことを言っています。
少し長くなりますが、引用させていただきます⋯。
人見知りは大体生後5〜6ヶ月ごろからみられるようになる。
それまでの乳児は、快感情を与えてくれた人、たとえば、あやしてくれた人なら誰にでも笑顔を見せ、声を上げる。
ところがある頃から、普段からあまり接しない人が近づいたり話しかけたり抱こうとしたりすると、それを敏感に察知し、突き放したり泣いたりして、嫌悪や恐怖をいった不快感情をあらわにするようになる。
しかしこのとき、親などの頻繁に接している人に抱かれるとピタリと泣き止んでギュッとしがみつき、他人への反応とは明確な違いを見せる。
これは、親と乳児の間に信頼関係が構築され、他の人との区別がつき始めたことを親にはっきりと知らせることになる。
ポイントは最後の文章の中にある「他の人との区別がつき始めた」です。
この時期までの乳児は、親と他人が区別ができていない状態です。
ハッキリ言えば、快感情を与えてくれる人であれば誰でも良い。
⋯なんて悲しい。
と思うかもしれませんが、私たちもこういう過程を経て、親と子から「親子」になった過去があるのです。
この「区別ができなかった状態」から「区別ができる状態」になったときが「親子」になるタイミングです。
「快感情を与えてくれる人なら誰でもいい」ってちょっと残酷ですが、なんだか面白いですよね。
そして親としては、「他の人に抱かれたら泣く」のに、「自分の元へ帰ってきた途端ピタリと泣き止む」我が子を見て、こう思うわけです。
「私だけがこの子を笑顔にできるのだ」
「私がこの子を育てなければ、誰がこの子を育てられるのか」
子どもの「人見知り」といった行動は、親にこうした強い自信や自負、そして責任感を改めて感じさせる複雑な行動です。
人見知りという現象は、親の養育行動をさらに促し、毎日休みなく続く養育行動への活力を与える大切な働きを含んでいるといえよう。(Via:135頁)
このような、親から子、子から親への行動とそれに伴う感情(心)の動きを「母子相互作用」と言います。
<母子相互作用について>
ふれあいによってスイッチオンされると、赤ちゃんが可愛くなり、赤ちゃんが声を出すとお母さんが応えて、笑うと笑い返す、お互いのやり取りやふれあいによってお母さんはお母さんらしく、赤ちゃんは赤ちゃんらしく育っていくのです。
お互いのやり取りによってお互いにそれらしく育つのを、「母子相互作用」呼ばれています。
ふれあいによる母子相互作用によって、子どもの心が育つのに最も重要なアタッチメント(愛着)が形成されます。
引用元:公益財団法人 母子健康協会 HP
この「母子相互作用」の継続が、親と子の絆を深めて愛情の形成を促進します。
ここまでくれば、もう「親子」と呼んでもいい段階にきていますよね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今回は、親と子はどうやって「親子」になるのか、についてシェアしました。
いかがでしたか?
生まれた瞬間から、「親子」といった関係ではなく、乳児が「他人との区別がつき始めた」ときに初めて「親子」になるようです。
しかも、「愛情の高め合い」や「母子相互作用」は、親から子への一方的なものではなく、子どもからもたくさんのパワーをもらっているということになりますよね。
こう考えると「子どももなかなか侮れない」と思いませんか〜?
子どもから学ぶべきところ、感謝すべきところは探せばいくらでもあると思います☆
あ、ちなみに「母子相互作用」と言う言葉なのですが、お父さんともしっかり「親子」の関係は結ばれますのでご安心を。
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それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
いつも誰かのお陰様☆
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